1 学校教育の一環としての部活動の意義
部活動は、学校教育の一環として、スポーツや文化及び科学等に興味と関心をもつ同好の生徒が、教員等の指導のもと自主的・自発的に活動を行うものであり、新たな知識や技能の獲得等を通じてその活動の楽しさや喜びを味わい、生活に豊かさをもたらす意義を有している。また、部活動は生徒が授業で体験し興味関心をもった技能等をさらに深く体験するとともに、授業で身に付けた技能等を発展させることや、部活動での成果を授業で生かし他の生徒に広めることもできる。さらに、学級や学年を離れて生徒が活動を組織し展開することにより、生徒の自主性・協調性・責任感・連帯感を育成し、仲間や教員等と密接に触れ合う場としても大きな意義を有している。
このように、部活動は生徒のスポーツや文化及び科学等の活動と人間形成を支援するものであり、その適切な運営は生徒のバランスのとれた心身の成⻑と明るい学校生活を保障するとともに、学校に対する生徒や保護者、地域の人達の信頼感をより高めることにつながる。
2 適切な部活の運営
(1) 生徒の個性の尊重と柔軟な運営
・ 参加については、生徒一人ひとりの考えを大切にすることが必要であり、部活動への参加を強制することのないようにすること。
・ 部活動への入部をしやすくするための工夫を図ること。
・ 生徒が主体的に活動したり、創意・工夫したりできるようにすること。
・ 喜びや悲しみなどを素直に表現できるようにし、それに適切に対応すること。
・ 互いの欲求や意図を理解しようとする姿勢を尊重すること。
・ 顧問会、リーダー会(部⻑会)等を組織し、有効に機能するようにすること。
・生徒のバランスのとれた生活の確保と効果的な活動 計画の作成
3 適切な休養⽇等の設定
■ 学期中は、原則として週当たり1⽇以上の休養⽇を設ける。⻑期休業中の休養⽇の設定は、学期中に準じた扱いを⾏う。
■ 生徒が⼗分な休養をとることができるとともに、学習時間を確保し、部活以外にも多様な活動を⾏うことができるよう、⻑期休業中等にある程度の休養期間(オフシーズン)を設ける。
■ 1⽇の活動時間は、原則として平⽇は3時間程度、学校の休業⽇は5時間程度とし、できるだけ短時間に合理的でかつ効率的・効果的な活動を⾏う。
部活動における休養⽇及び活動時間については、成⻑期にある生徒が、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう、上記を基準とする
4 安全管理・事故防⽌
① 健康状態の把握
・ 生徒に自らの健康状態について関心や意識をもたせる。
・ 適度な休養や栄養の補給に留意させる。
・ 生徒の持病や健康診断(心電図検査等)の結果等を把握し、必要に応じて、医師の指示を仰ぐとともに、養護教諭・学級担任・保護者等との連携を密にし、健康状態について常に把握しておく。
・ 活動に際し、健康観察を適切に行い、体調が優れない生徒に対しては無理をさせず、活動内容を制限させるか休ませる。
② 指導上の留意事項
・ 学年や個人差を十分配慮した段階的・計画的な指導を行う。
・ 部顧問が互いに連携し、生徒の行動に目を配り、安全に活動できているか注意を払う。
・ 自分や他者の危険を予測し、どのようにすれば危険を回避できるのかを具体的な場面を用いて明確に示し、ルールや規則を守る意義を理解させるとともに、危険に対する予知や判断能力を育成する。
・ 気象庁が発表する情報や環境省熱中症予防情報サイト上の暑さ指数(WBGT※)等の情報や、測定器を活用して得た情報に十分留意し、気温・湿度などの環境条件に配慮した活動を実施する。その際、活動の中止や延期、見直し等柔軟に対応を検討する。
・ 活動前、活動中、活動後にこまめに水分や塩分を補給し、休憩を取るとともに、生徒への健康観察など健康管理を徹底する。特に、活動に不慣れな下級生の活動には十分留意する。
・ 熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、体温の冷却、病院への搬送等、適切な応急手当等を実施する。
・ 暴風や雷、大雨等、急な天候の変化に対して情報収集に努め、それらが
十分に予想される場合は即時に活動を中止し、生徒の安全確保に努める。
※WBGT・・・暑さ寒さに関係する気温、湿度、輻射熱、気流の 4 要素を取り入れた指標
③ 施設・設備・用具の安全点検と安全管理
・ 施設・設備・用具の使用前、使用後及び定期的な点検を行う。また、生徒にも安全確認の習慣化を図る。
・ 施設・設備・用具を正しく使用し、事故が起きないようにする。
(2)事故発生時の対応
生徒に対しても保健体育科の授業や部活動等を通して、応急手当に関する指導を行うとともに、事故発生時の行動の仕方についても指導することが大切である。万一の事故発生時には、各学校で作成した学校管理下における「危機管理マニュアル」を参照のうえ、適切な対応をすること。
○参考
・運動部活動での指導のガイドライン(平成 25 年 5 月 文部科学省)
・高等学校学習指導要領 (平成 30 年3月 文部科学省)
・平成 29 年度香川の学校体育(平成 30 年3月 香川県教育委員会)
・教職員の働き方改革プラン(平成 30 年3月 香川県教育委員会)
・運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(平成30 年3 月 スポーツ庁)
・文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(平成30年12月 文化庁)
・香川県部活動ガイドライン(平成31年4月 香川県教育委員会)